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第5土曜特集 難治性免疫疾患――病態解明と新規治療戦略
疾患
アトピー性皮膚炎の病態と治療戦略
The pathogenesis and therapeutic strategies of atopic dermatitis
中島 沙恵子
1
,
椛島 健治
1
Saeko NAKAJIMA
1
,
Kenji KABASHIMA
1
1京都大学大学院医学研究科皮膚科学
キーワード:
アトピー性皮膚炎(AD)
,
皮膚バリア機能
,
かゆみ
,
Th2型免疫応答
Keyword:
アトピー性皮膚炎(AD)
,
皮膚バリア機能
,
かゆみ
,
Th2型免疫応答
pp.795-801
発行日 2021年5月29日
Published Date 2021/5/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27709795
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アトピー性皮膚炎(AD)は増悪と寛解を繰り返し,かゆみを伴う湿疹を特徴とする慢性炎症性皮膚疾患である.ADの発症や増悪には環境要因,遺伝素因,皮膚常在細菌などのさまざまな要素が関わっている.皮膚バリア機能異常,アレルギー炎症,かゆみの3つの要素が中心となりADの病態を形成する.ADではTh2型の免疫応答が亢進しており,Th2環境下で誘導されるサイトカインはかゆみの誘導に重要な役割を果たす.また,バリア機能異常のある皮膚を介した経皮感作により誘導される獲得免疫応答は,アレルギーマーチの誘導に重要である.ADの治療の中心は,ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの抗炎症外用薬と,保湿剤によるスキンケアである.抗IL-4受容体抗体であるデュピルマブは,中等度から重症のアトピー性皮膚炎に高い治療効果を発揮する.近年,JAK阻害薬外用薬・内服薬が新たなAD治療薬として加わり,その治療効果に期待が持たれている.
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