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第1土曜特集 アトピー性皮膚炎の治療を網羅する
バリシチニブによるアトピー性皮膚炎治療
Atopic dermatitis treatment with baricitinib
茂木 精一郎
1
Sei-ichiro MOTEGI
1
1群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学
キーワード:
アトピー性皮膚炎(AD)
,
バリシチニブ
,
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬
,
IL-22
Keyword:
アトピー性皮膚炎(AD)
,
バリシチニブ
,
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬
,
IL-22
pp.90-94
発行日 2024年10月5日
Published Date 2024/10/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291010090
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バリシチニブ(オルミエント®)は,ヤヌスキナーゼ(JAK)1とJAK2を選択的に阻害する内服薬で,アトピー性皮膚炎(AD)の全身治療として用いられている.炎症性サイトカインの産生を抑制し,皮膚バリア機能やタイプ2炎症反応,痒みの改善が期待される.成人では4mgを1日1回経口投与し,2mgに減量可能である.2歳以上の小児にも体重に応じた用量で使用できる.臨床試験で皮疹や痒みの改善効果が確認され,QOL向上も示された.リアルワールドデータでも治療効果が報告され,特にEASIが高くなくても,痒みが強くQOLが低下している人,いわゆる “itch dominant” の患者〔痒みのスコア(NRS)7点以上,皮疹の面積の割合(BSA)10~40〕に有効とされる.有害事象として痤瘡,毛包炎,帯状疱疹などがあるが,バリシチニブは他のJAK阻害薬よりも安全性が高く,副作用を懸念する患者や高齢者には特に適している.短期間の使用も可能で,注射を避けたい患者にも推奨される.バリシチニブは中等症から重症のAD患者,特に痒みが強い患者に適しており,減量や再投与も可能である.
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