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特集 冬眠研究の最前線――人工冬眠への挑戦
人工冬眠技術の未来と臨床応用
Clinical application of synthetic hibernation
砂川 玄志郎
1
Genshiro A. SUNAGAWA
1
1理化学研究所生命機能科学研究センター網膜再生医療研究開発プロジェクト
キーワード:
休眠
,
臨床応用
,
低体温療法
Keyword:
休眠
,
臨床応用
,
低体温療法
pp.207-211
発行日 2021年4月17日
Published Date 2021/4/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27703207
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人間よりもひと回り大きな繭型の白いカプセルが音も立てずに開くと,なかには人間が1人横たわっている.心電図なのか,何本ものワイヤーが体幹に取り付けられていること以外はとくに変わった様子もなく穏やかに寝ているように見える.一時の静寂の後,ゆっくりとまぶたが開き,長い眠りから目が覚める…….このようなSF作品にはよくみられるシーンが,フィクションではなくなる日が近づいている.2020年に,冬眠研究の世界で大きなブレークスルーがあった.筑波大学と理化学研究所の共同研究チームが冬眠をしないマウスを,数日間にわたって冬眠に近い状態に誘導することに成功したのである1).この冬眠様低代謝状態については,本特集の他稿に詳述されているが,人間を含めた冬眠をしないとされる動物を冬眠にいざなう人工冬眠技術の研究開発が大きく前進すると考えられる.本稿では,人工冬眠によってどのような臨床応用が期待されるのか概説したい.
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