Japanese
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特集 冬眠研究の最前線――人工冬眠への挑戦
哺乳類冬眠の現象論
Phenomenology of mammalian hibernation
山口 良文
1
,
大塚 玲桜
1
Yoshifumi YAMAGUCHI
1
,
Reo OTSUKA
1
1北海道大学低温科学研究所冬眠代謝生理発達分野
キーワード:
冬眠動物
,
異温動物
,
深冬眠
,
中途覚醒
,
概年リズム
Keyword:
冬眠動物
,
異温動物
,
深冬眠
,
中途覚醒
,
概年リズム
pp.213-216
発行日 2021年4月17日
Published Date 2021/4/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27703213
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哺乳類は,体内で熱産生を行い体温を37°C付近に維持する恒温性を獲得した恒温動物(homeotherm)である.この熱産生能の獲得は寒冷時にも高い運動性を発揮することを可能とし,哺乳類は生息圏を拡大した.しかし,熱産生は食物由来のエネルギーを必要とするため,冬季など食物が枯渇する季節には,熱産生に必要なエネルギー源確保が困難となる.こうした状況に際し,熱産生を能動的に抑制し大幅な体温低下を生じた不動状態となってエネルギー消費を節約し冬季を乗り切る生存戦略が “冬眠(hibernation)” である.ヒトやラットなど多くの哺乳類は冬眠を行わないが,冬眠自体は霊長類を含む哺乳類で広く認められることから,哺乳類の共有祖先形質とも考えられている.しかし,冬眠の制御機構はいまだ多くが謎に包まれている.本稿では,幅広い冬眠研究分野のなかから,主に冬眠時の体温変化と季節性の体の変換の現象論について概説する.
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