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特集 ここまでわかった細胞老化と腫瘍
乳癌・前立腺癌ホルモン療法後の細胞老化を介した治療抵抗性獲得
Therapy resistance of breast and prostate cancer through cellular senescence after hormone deprivation therapy
田中 亨
1
Akira TANAKA
1
1自治医科大学病理学講座人体病理学部門
キーワード:
細胞老化
,
治療抵抗性
,
前立腺
,
乳腺
,
去勢
Keyword:
細胞老化
,
治療抵抗性
,
前立腺
,
乳腺
,
去勢
pp.177-179
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27702177
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近年,腫瘍進展と細胞老化やそれに関連するsenescence-associated secretory phenotype(SASP)との関係性が注目されている.筆者らの研究グループでは,性ホルモン除去により,乳腺・前立腺上皮細胞では細胞老化が誘導されることを個体レベルで明確にした.そして,androgen deprivation therapy(ADT)後に外科的に切除された前立腺組織と未治療で切除された前立腺組織を比較し,ADT群では非腫瘍性上皮細胞,残存癌細胞,腫瘍間質でSASPが生じていることを見出した.また,性ホルモン除去に伴う細胞老化では酸化ストレスが成因のひとつであり,ADT後に残存する前立腺癌では抗酸化反応が亢進して細胞老化を回避していることを明らかにした.腫瘍が細胞老化に伴う変化を利用しながら治療抵抗性を獲得する具体例として,今後の展開が期待される.
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