FORUM 天才の精神分析――病跡学(パトグラフィ)への誘い・17
ウィトゲンシュタイン
-――極めつきの高い知性・感性の保持者
加藤 敏
1
1小山富士見台病院
pp.1220-1222
発行日 2021年3月27日
Published Date 2021/3/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276131220
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学園紛争が吹き荒れていた筆者の学生時代は,20世紀最大の哲学者の1人と目され,数奇な生涯を送ったウィトゲンシュタインの著作『論理哲学論考』2)がよく読まれた.筆者も,非常に難解だが,何か惹かれるものがあり,分からないまま読み進めた.抽象度の高い論理的な思考を順次進められ,締めくくりに,「語り得ないものについては,人は沈黙しなければならない」(六・五四)という警句が発せられ,魅了された.その前に発せられる「言い表せぬものが存在することは確かである.それはおのずと現れ出る.それは神秘的なものである」(六・五二二)という言葉も刺激的であった.
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