宇宙医学を地球上の健康増進に活かそう -――抗重力筋線維の反応

Utilizing space medicine to improve health on earth ――Reaction of anti-gravity muscle fibers

　現在継続中の国際宇宙ステーション（ISS）の運用に加えて，今後1/6Gの月および3/8Gの火星の低重力環境での長期間の有人探査が計画されている．とくに，火星への往復は約6カ月間の無重力環境に曝されることになる．したがって，宇宙飛行士たちの健康の維持管理に及ぼす影響が懸念される．宇宙放射線被曝の影響も大きな問題であるが，重力の影響は抗重力筋，骨密度，脳の特性などへの悪影響も危惧される．火星への長期飛行の場合，着陸現場で待ってくれているスタッフもいない．したがって，行く途中の体力低下なども防止する必要があるが，飛行船に大型の運動機器を搭載するわけにもいかないので，コンパクトな運動機器の開発も必須である．