Japanese
English
【寄稿】
地球温暖化による健康影響—熱中症
Health Impacts of Global Warming : Heat Stroke
小野 雅司
1
Masaji Ono
1
1独立行政法人国立環境研究所環境健康研究領域総合影響評価研究室
キーワード:
熱中症
,
高齢者
,
運動
,
屋外作業
,
予防対策
,
heat stroke
,
aged people
,
sports
,
outdoor work
,
preventive measure
Keyword:
熱中症
,
高齢者
,
運動
,
屋外作業
,
予防対策
,
heat stroke
,
aged people
,
sports
,
outdoor work
,
preventive measure
pp.19-27
発行日 2009年5月31日
Published Date 2009/5/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7008200139
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はじめに
2003年夏ヨーロッパを熱波が襲い、フランスの約1万5千人を筆頭にヨーロッパ各地で総計3万5千人を超える超過死亡注1)を引き起こしたと言われている1,2)。その後も毎年世界各地で熱波による過剰死亡が報告されるなど、大きな問題となっている。我が国においては、2003年夏のヨーロッパのような熱波は報告されていないものの、2007年8月には埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で40.9℃の国内最高気温を記録するなど、各地で連日の真夏日、猛暑日が報告され、人口動態統計(厚生労働省)によれば熱中症による2007年の死亡者は904名と過去最多を記録した。
熱中症とは、高温環境に曝されることによって、あるいは激しい労働や運動によって体温が上昇し、同時に、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体内に備わった体温調節機能(皮膚に血液を集める、あるいは汗をかくなどして体温を下げる)が破綻する、などの原因で起きる症状である。対応を誤ると死に至る危険性もあるが、予防法を知っていれば防ぐことも可能である。ところで、2007年の熱中症死亡者数は904名であるが、同年に全国で救急搬送された熱中症患者数は消防庁の調べ3)によれば2万3千名を超える。熱中症の実態を正しく理解するためには、死亡だけでなく熱中症患者の発生を正確に把握することが重要となる。
本稿では、国立環境研究所が2003年より全国政令市の消防局の協力を得て収集してきた救急搬送熱中症患者データを用いて、我が国おける熱中症の実態と熱中症発生要因を明らかにするとともに、熱中症の予防策等について考える。
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