扉
宇宙から見た地球の写真を見て
倉本 進賢
1
1久留米大学医学部脳神経外科
pp.243
発行日 1985年3月10日
Published Date 1985/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436201977
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宇宙から見た地球の写真を見て,その美しさに驚いた.秋の夜空の玲瓏たる名月よりも,暗黒の宇宙空間に白い雲影を浮かべた青い地球が美しく,暖かさがあると思った.自分の住んでいる地球の暖かさを今日まで全く知らずに,とかく人の世は住みにくいなどと考えたりしたことが恥かしい気がした.それにしても私は今日のような科学技術の進歩した,豊かで平和な時代に生きていることを心から幸せに思うし,この地球こそが宇宙でもっとも恵まれた楽園と思うようになった.
立花隆著「宇宙からの帰還」を読んで少しばかり宇宙や地球の認識を変えていたところ,数日前の新聞でソ連の3人の飛行士が宇宙滞在236日余の新記録を樹立して帰還したという記事を読んだ.無重力状態のもとでは人間は重力に抗して体重を支えて起立したり,運動する必要がないので,長い間無重力状態にいると骨も筋肉も心臓血管系も弱化するそうである.海水浴の際に長く水中にいて砂浜に上ると自分の体を重たく感じることがあるが,約8ヵ月間も無重力状態で生活していたら,地球に帰還してから,宇宙飛行士は自分の体重が重たくて,しばらくは歩けないのではないかと想像する.
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