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特集 糖尿病性腎症研究の最前線
SGLT2阻害薬の新たな知見
ケトン体を介した腎保護効果
Role of ketone body SGLT2-mediated renoprotection
久米 真司
1
KUME Shinji
1
1滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科
キーワード:
ketone body
,
diabetic nephropathy
,
mTORC1
,
SGLT2 inhibitor
Keyword:
ketone body
,
diabetic nephropathy
,
mTORC1
,
SGLT2 inhibitor
pp.204-208
発行日 2024年2月25日
Published Date 2024/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001196
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はじめに
ケトアシドーシスは,主に1型糖尿病に生じる重篤な急性合併症の1つである。よって,約100年前にインスリンが発見され,インスリン製剤が臨床で利用できるようになり,ケトアシドーシスの治療が可能となった今でも,ケトン体には非常に強い「負のイメージ」が根づいている。しかしながら,元来,飢餓に晒され進化してきた生物にとって,ケトン体は飢餓時のエネルギー源として重要な役割を果たしてきた。そして近年,老化研究や神経領域を中心としたケトン体研究が進むにつれ,ケトン体のもつ生体に対する有益性が明らかにされ,ケトン体にも「正のイメージ」が少しずつ芽生えはじめている。そして,ケトン体を増加させる糖尿病治療薬であるナトリウム・グルコース共役輸送体2(sodium glucose cotransporter 2:SGLT2)阻害薬が強い腎保護効果を示し,その腎保護機構の一端をケトン体が担っている可能性も示されてきている。本稿では,ケトン体のもつ腎保護的役割,そして,SGLT2阻害薬とのかかわりについて概説する。
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