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連載 臨床医が知っておくべき最新の基礎免疫学・第21回
免疫不全症の新展開
New international classification of inborn errors of immunity
今井 耕輔
1
Kohsuke IMAI
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 茨城県小児・周産期地域医療学
キーワード:
原発性免疫不全症(PID)
,
自己炎症性疾患
,
自己免疫性疾患
,
遺伝子検査
,
新型コロナウイルス感染症
Keyword:
原発性免疫不全症(PID)
,
自己炎症性疾患
,
自己免疫性疾患
,
遺伝子検査
,
新型コロナウイルス感染症
pp.885-892
発行日 2021年2月27日
Published Date 2021/2/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27609885
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SUMMARY
人類は,もともと病原体に弱い生き物であるが,上下水道,ワクチン,抗菌薬の発達により,若年の感染症による死亡率は激減しており,そのなかで易感染性を呈する患者として,原発性免疫不全症(PID)が記載され,現在では430の原因遺伝子が同定されている.易感染性PIDのなかでは,単一病原体への易感染性を示す自然免疫不全症が次々と報告されているが,新型コロナウイルス感染症の若年重症者のなかにも1型インターフェロン経路の遺伝子異常症が発見された.一方,易感染性を呈さない単一遺伝子異常である免疫制御異常症,自己炎症性疾患も年々発見されており,多くの膠原病,自己免疫疾患や炎症性疾患の疾患モデルとなりうると考えられる.PID遺伝子を見ると,獲得免疫系に関わるものが多く,獲得免疫系の重要さ,自然免疫系の冗長性・バックアップ能力の高さも示している.今後も,PIDの原因遺伝子の同定,病態の解明が,ヒト免疫系の理解に寄与することが期待される.
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