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連載 バイオミメティクス(生体模倣技術)の医療への応用・vol.17
生物に学ぶ低摩擦材料:微細構造による摩擦の制御
Low friction surfaces learning from the insect:control of a surface frictions by microstructures
平井 悠司
1
Yuji HIRAI
1
1公立千歳科学技術大学理工学部応用化学生物学科
キーワード:
摩擦
,
微細構造
,
昆虫
,
ゴム
Keyword:
摩擦
,
微細構造
,
昆虫
,
ゴム
pp.893-899
発行日 2021年2月27日
Published Date 2021/2/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27609893
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摩擦は身近に発生している現象でありながら,原子・分子レベルの凹凸が影響してしまう非常に複雑で理解が難しい現象である.さらに摩擦によってエネルギーが浪費され,摩耗によって部材が損傷してしまう問題もあり,さまざまな分野でどのように摩擦力を下げるかが大きな課題となっている.筆者らは,表面の微細構造が摩擦力にどのように影響するのかを調べるにあたり,狭い空間に潜むように生息しているマダラシミに着目した.電子顕微鏡によって体表面を詳細に観察し,原子間力顕微鏡を用いて摩擦力を測定した結果,マダラシミの体表は微細な溝構造が形成している鱗片で覆われており,鱗片表面の溝構造によって摩擦力を低減していることが示唆された.また加硫ゴムで作製したマイクロスケールの突起構造の摩擦力を測定し,その摩擦力低減効果とあわせて考察することで,いかにして接触面積を減らすのかが摩擦力を下げるうえで重要な要素であるかを明らかにした.
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