Japanese
English
TOPICS 麻酔科学
麻酔薬ケタミンとうつ病の関係
Ketamine and depression
工藤 隆司
1
Takashi KUDO
1
1弘前大学医学部附属病院麻酔科
pp.297-298
発行日 2021年1月23日
Published Date 2021/1/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27604297
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うつ病の現状
うつ病はこころの風邪ともいわれるが,厚生労働省2017年のデータによると,日本のうつ病患者数は120万人以上に上る.2011年には厚生労働省から癌と並ぶ5大疾患に認定され,WHO(世界保健機関)では2030年までには最も多くの人を苦しめる疾患になるとも警告されている.うつ病による影響,被害は苦しい思いをしている患者のみならず,意欲減退,就労不能,自殺などによる生産性,期待収入の低下を含めると経済的にも3兆円以上の損失と推定されている.うつ病が年々問題視される傾向の理由のひとつとして治療抵抗性があげられるのではないであろうか.うつ病治療の中心となる抗うつ薬はその効果が現れるまでに時間を要するだけでなく,3割程度で治療抵抗性を示すといわれている.また,修正型電気痙攣療法は安全な治療との認識が高まってきているが,循環動態,内分泌変化などをはじめとする患者の負担が小さくはない.さらには静脈麻酔薬,筋弛緩薬の使用から安全面において麻酔科医との協力体制を要することが多く,気軽に行える治療とは言い難い.こうした背景からうつ病治療戦略の新しい選択肢が求められている.
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