Japanese
English
特集 IgG4関連疾患――解明されてきた新たな病態
IgG4関連疾患の消退像
-――実症例に基づく病理学的考察
Pathological discussion on the regression of IgG4-related disease
能登原 憲司
1
,
檜垣 浩一
2
Kenji NOTOHARA
1
,
Koichi HIGAKI
2
1公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院病理診断科
2社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院病理診断科
キーワード:
自己免疫性膵炎(AIP)
,
IgG4関連疾患
,
病理
,
消退
Keyword:
自己免疫性膵炎(AIP)
,
IgG4関連疾患
,
病理
,
消退
pp.141-146
発行日 2021年1月9日
Published Date 2021/1/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27602141
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自己免疫性膵炎(AIP)においては病理学的に膵の既存構造が残存し,腺房細胞が著減するにもかかわらず,炎症のため小葉の輪郭,サイズは維持され,膵管,膵辺縁,小静脈(閉塞性静脈炎),小動脈(動脈周囲炎),末梢神経(神経周囲炎)には肥厚性病変が形成される.病変の一部に消退性変化を伴ったAIPの膵切除症例を検索したところ,炎症消退部で膵は萎縮し,組織学的に炎症細胞の消失,腺房細胞の著減と小葉の萎縮,小葉間ならびに膵辺縁の線維化が認められた.線維化は通常の慢性炎症でみられるようなもので,花筵状線維化の像は消失していた.IgG4関連疾患のルーチン検体においても,唾液腺の結節性病変が瘢痕化したものや,線維化の強い後腹膜線維症など,部分的な消退像と思われる変化をみることがある.IgG4関連疾患の消退像,修復像の詳細がさらに明らかになれば,長期経過の病態解明につながると期待される.
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