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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界的に猛威を振るい,また,感染後にさまざまな後遺症を発症する場合がある.今回,嚥下障害を合併したCOVID-19感染後患者に対して,リハビリテーション(以下,リハ)と栄養管理を行い,経口摂取が可能となった症例を経験したので報告する.【症例】60歳代後半,男性.COVID-19感染後に呼吸状態悪化を認め,人工呼吸器装着,気管切開となった.急性期治療が終了したため,当院に人工呼吸器管理とリハ目的で入院となった.【経過】介入時,経管栄養投与量を1,200kcal,たんぱく質45.6gから,1,600kcal,たんぱく質60.8gへ増量を行った.3病日から理学療法士の介入を開始し,6病日から言語聴覚士の介入を開始した.人工呼吸器からの離脱を図るために,状態を見ながら日中は人工鼻,夜間は人工呼吸器と段階を経て27病日に人工呼吸器離脱が可能となった.48病日に嚥下内視鏡検査を実施し,昼食時のみ嚥下調整食2(ペースト食)を半量から開始することが適切だと判断した.また,リハ時の負荷量が増加していたため,嚥下調整食2(ペースト食)の半量へMCTオイルと粉飴を混ぜてエネルギーアップを図った(400kcal,たんぱく質9.2g).62病日に嚥下造影検査を実施し,3食嚥下調整食4(歯がなくても対応可能な食事)の全量(1,750kcal,たんぱく質55g)へ変更となり,経鼻胃管チューブを抜去した.66病日には作業療法士の介入を開始した.72病日に発熱もなく,食事摂取良好のため3食常食(1,850kcal,たんぱく質70g)へ変更した.【考察】COVID-19感染後患者は,気管内挿管や気管切開,神経障害などから嚥下障害をきたすことがある.本症例は,リハと栄養管理を同時に行ったことにより,栄養状態が改善し,嚥下機能の改善につながったと考えられる.また,多職種でアプローチしたことが有効だったと思われる.
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