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小脳梗塞後の嚥下障害により唾液を自己処理できず,吸引を30回/日以上行っており経口摂取不可であった在宅患者に,多職種でかかわり,胃瘻からの経管栄養のみの栄養摂取から3食経口摂取につなげられた症例を経験したので報告する.【症例】60歳代,男性.要介護5.小脳梗塞後,胃瘻造設,気管切開を施行し,急性期病院から自宅退院.カフ付き気管カニューレを挿入し,吸引は30回/日以上で,経口摂取は不能.胃瘻からの経腸栄養剤と妻のつくるミキサー食注入で栄養管理を行っていた.【経過】在宅訪問医師の指示のもと,管理栄養士介入当初は,患者の妻に対し胃瘻から注入するミキサー食の内容について指導を行った.患者は歯科医師による訪問歯科診療で嚥下訓練を受けていた.ADLは杖歩行レベルで,認知機能も問題なくリハビリテーション(以下,リハビリ)意欲もあったため,耳鼻咽喉科への受診を推奨した.その後,集中リハビリを行い,ある程度の改善はあったが,経口摂取できるレベルまでは改善せず,大学病院にて嚥下機能改善手術を受けた.管理栄養士は術前の栄養管理として体重増加を図り,術後は食形態改善につれ,患者の食欲が増進し食事摂取量が増え体重も増加した.胃瘻からの経管栄養は終了し,3食経口摂取となった.【考察】嚥下障害は栄養状態の改善やリハビリにより,ある程度改善するケースもあるが,それだけでは改善しないケースもある.嚥下障害の改善には手術という手段があり,管理栄養士であってもその適応についての知識は必要である.今回は,専門機関につなげ,嚥下機能改善手術によって,患者のQOLを改善することができた.多職種で患者の病態を正しく理解し,連携していくことも必要である.
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