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●われわれは,医療政策を学ぶ学生主体のチームであり,若年層を中心に再興している梅毒の急増を重大な社会的課題と捉え,その背景にある「受診への心理的・時間的・技術的ハードル」に注目した.これらの課題を克服するため,患者自身の早期受診行動を促し,非専門医の診断支援にもつながるAI画像診断プログラムの開発を構想した.
●AIを医療現場で活用するためには,薬機法上の「プログラム医療機器」としての承認が不可欠であり,その審査や保険適用には多段階のハードルが存在する.日本は米欧に比べてプログラム医療機器の開発数・適応疾患が限られており,とくに梅毒を対象とした製品はまだ存在しない.学生チームは医薬品医療機器総合機構や医療系ベンチャーサポート事業の実施機関などの支援を受けつつ,品質管理やリスク評価,臨床試験設計など社会実装に必要な条件の理解を深めながら開発を進めている.
●チームは,皮疹画像・発症部位・行動歴などの情報をもとに梅毒罹患の確率を提示するAI診断支援プログラムを開発中である.画像解析AIに加え,近年発展した大規模言語モデルやAIエージェント技術を組み合わせることで,問診データや外部知識を統合した柔軟な診断支援を実現しようとしている.これにより,従来の画像分類AIの課題であったデータ依存性や汎用性の低さを克服し,他疾患への応用も可能な新たな医療AIモデルを目指している.
●本プロジェクトは,梅毒にとどまらず,ほかの皮膚疾患にも応用可能な包括的AI診断プラットフォームの構築を志向しており,スマートフォンを介した低コストな感染症対策によって公衆衛生の世界的な改善に貢献しうる.また,学生による医学・工学・政策科学の融合を通じて,倫理的・法的・社会的課題にも配慮したプログラム医療機器開発の新たなモデルケースを提示している.今後は,産学官連携を強化し,透明性と安全性を備えた国際的医療イノベーションの実現を目指す.
(「ポイント」より)

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