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特集 水疱をきたす疾患
総説2
身近に潜む亜鉛欠乏症 難治性皮膚炎・褥瘡の病態への関与
Hidden around us : Zinc deficiency involvement in the pathogenesis of intractable dermatitis and pressure ulcers
茂木 精一郎
1
Sei-ichiro Motegi
1
1群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学
1Department of Dermatology, Gunma University Graduate School of Medicine
キーワード:
亜鉛
,
亜鉛欠乏症
,
潜在性亜鉛欠乏
,
褥瘡
Keyword:
亜鉛
,
亜鉛欠乏症
,
潜在性亜鉛欠乏
,
褥瘡
pp.213-219
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000003749
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●亜鉛欠乏による皮膚症状は特徴的で,四肢末端および開口部周辺(眼囲,鼻孔,口囲,肛囲など)など,外的刺激を受けやすい部位に生じる.
●皮膚症状だけではなく,口内炎,脱毛,食欲低下,発育障害,性腺機能不全,創傷治癒遅延,味覚の低下・異常などさまざまな症状を呈する.
●さまざまな疾患(肝障害,腸疾患など),生活習慣,妊娠,老化,薬剤などによって,亜鉛が欠乏するため,意外と身近に亜鉛欠乏が潜んでいる可能性が高い.
●亜鉛欠乏により褥瘡は重症化しやすく,治りにくいことが明らかになった.積極的に血清亜鉛値を測定して,低値であれば,亜鉛の経口補充を行うことで褥瘡の予防と治療につながる可能性が考えられた.
●皮膚病変や皮膚潰瘍が難治な場合(何かおかしいなと感じたら)は,血清亜鉛値を測定することをお勧めしたい.低値なら亜鉛補充療法を行うことで改善に転ずることが期待される.普段の標準的な血液検査項目の1つに血清亜鉛値を加えてもよいかもしれない.
(「ポイント」より)
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