案件から学ぶ医療事故の対策と問題点
長期ステロイド点眼薬による緑内障を生じた例
向井 秀樹
1
1東邦大学医学部
pp.1006-1007
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002194
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- 文献概要
・アレルギー性結膜炎の診断にて某眼科に受診している60歳代女性.
・痒みの強い時期に,パタノール®点眼液と0.1%フルメトロン®点眼液(1日4回)を処方.
・これらの処方を,およそ10年間も継続.薬のみ処方も多かったが,眼圧はときどき測定され,左右13mmHgで視力も両側1.2と正常範囲内.
・眼底所見の記載はあるが判読できず,異常所見の有無は不明.緑内障に関する視野検査および神経線維束欠損の検査は未実施であった.
・瘙痒感が強く,フルメトロン®点眼液では効かないと訴え,0.1%リンデロン®点眼液(1日4回)に変更.抗アレルギー点眼液も処方される.眼圧は左右13mmHgと正常.その間,同様の治療を継続.
・5カ月後,左眼の眼圧は19mmHgと上昇,右眼は16mmHgであったが,眼底検査は未実施.その後,薬のみ処方や診察するも眼圧測定や視野検査は未実施.
・8カ月後,左眼がボケると訴え受診.眼圧は左眼38,右眼27mmHgと両眼とも高眼圧で,視力は左0.5と低下し右は1.0.初めての視野検査で右眼より左眼に視野欠損が強く,最終受診日に左眼の視野欠損末期と判定.
(「経過」より)
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