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薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)は,抗痙攣薬などの比較 的限られた薬剤投与開始から3週間以上経って遅 発性に発症し,発熱,多臓器障害を伴う重症型薬 疹の1つである.皮疹は紅斑丘疹型,多形紅斑型と して始まり,しばしば紅皮症に移行する.またリ ンパ節腫脹,38℃以上の発熱,肝機能障害,腎機 能障害,好酸球増多,異型リンパ球の出現などを 生じ,原因薬剤中止後も皮疹や臓器障害の遷延を 認める.発症2~4週間後にヒトヘルペスウイルス 6(HHV-6)の再活性化を生じ,薬剤アレルギーと 再活性化したウイルス感染の両者が関与した病態 と考えられている.DIHSの診断には原因薬剤中 止後の経過の遷延や,HHV-6の再活性化などを考 慮する必要があり,発症早期での診断が課題で あった.以前われわれは,Th2型免疫反応を誘導 するケモカインの1つで,アトピー性皮膚炎の疾 患活動性マーカーとして用いられているthymus and activation-regulated chemokine(TARC)の血清 中濃度が,DIHSの発症初期に著明に高値を示す ことを明らかにした.一方,Stevens-Johnson症候 群(SJS),中毒性表皮壊死症(TEN),紅斑丘疹型 薬疹(MPE)では軽度の上昇にとどまることから, TARCがDIHSの早期診断のマーカーとして注目 されている1~4). 今回われわれは,血清TARC値がDIHSの重症度 予測マーカーとしても有用であることを見出した. 本稿では,DIHSにおける急性期血清TARC値と臨 床症状および検査所見との相関についてのわれわ れの知見を交えて,DIHS診療における血清TARC 値の有用性について紹介する.(「はじめに」より)
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