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特集 最近のトピックス2012 Clinical Dermatology 2012
1.最近話題の皮膚疾患
トリクロロエチレンによる過敏症症候群
Hypersensitivity syndrome due to trichloroethylene exposure
深澤 奈都子
1
,
佐藤 友隆
1
,
渡辺 秀晃
2
,
上島 通浩
3
,
飯島 正文
2
Natsuko FUKASAWA
1
,
Tomotaka SATO
1
,
Hideaki WATANABE
2
,
Michihiro KAMIJIMA
3
,
Masafumi IIJIMA
2
1国立病院機構東京医療センター皮膚科
2昭和大学皮膚科
3名古屋市立大学大学院医学研究科環境保健学分野
1Division of Dermatology,National Hospital Organization Tokyo Medical Center,Tokyo,Japan
2Department of Dermatology,Showa University,Tokyo,Japan
3Department of Occupational and Environmental Health,Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences,Nagoya,Japan
キーワード:
トリクロロエチレン
,
過敏症症候群
,
HHV-6
,
ヒト白血球抗原(HLA)
Keyword:
トリクロロエチレン
,
過敏症症候群
,
HHV-6
,
ヒト白血球抗原(HLA)
pp.12-15
発行日 2012年4月10日
Published Date 2012/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103242
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要約 トリクロロエチレン(trichloroethylene:TCE)は金属加工部品などの脱脂洗浄溶剤等としての用途がある有機溶剤で,発癌性の問題から使用されなくなっていた.しかし代替品であるクロロフルオロカーボンなどによる地球のオゾン層破壊の問題から再度使用頻度が上昇している有機溶剤である.TCEによる肝機能障害を伴う,全身性の皮膚障害は使用頻度の高いアジア諸国で1990年代半ば以降に300例以上報告され,増加傾向にある.日本では1990年以降報告はなかったが,最近東京で2例の報告があった.この皮膚障害は臨床症状および経過,血液検査所見,ウイルスの再活性化を含めて薬剤過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)にきわめて類似しており,同じ病態と考えられつつある.TCEによる皮膚障害の発症に関しては,原因遺伝子としてHLA-B*1301およびHLA-B*44のアリルを有する人に高率に発症することが判明している.
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