特集 鑑別に苦慮した皮膚病(1)
臨床例
画像所見から石灰化上皮腫も疑われた巨大皮膚線維腫
吉池 沙保里
1
,
佐藤 洋平
,
早川 順
,
大山 学
1杏林大学 医学部皮膚科学教室
キーワード:
鑑別診断
,
X線CT
,
臀部
,
皮膚腫瘍
,
組織球腫-良性線維性
,
毛母腫
,
皮膚外科
Keyword:
Buttocks
,
Diagnosis, Differential
,
Skin Neoplasms
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Histiocytoma, Benign Fibrous
,
Pilomatrixoma
,
Dermatologic Surgical Procedures
pp.383-386
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2016224751
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<症例のポイント>臀部の径5cmと大型でドーム状に隆起し表面褐色調、弾性硬の皮膚腫瘍。臨床像からは皮膚線維腫、石灰化上皮腫、皮膚線維肉腫等の可能性を考えた。CT所見で腫瘍辺縁に石灰化を疑う所見があり、読影上は石灰化上皮腫が考えられた。病理組織学的には、真皮から皮下織内に紡錘形細胞と膠原線維の増生があり、CD34陰性、Ki-67陽性率低値より巨大皮膚線維腫と診断した。巨大皮膚線維腫は、(1)直径5cm以上、(2)有茎性、(3)良性の経過をたどる、(4)組織学的には典型的、などと定義される皮膚線維腫の比較的まれな亜型である。CTでみられた腫瘍辺縁の高吸収域は、病理組織所見で石灰化がなかったことから、線維化や陳旧性の出血を反映した画像所見であった可能性が高い。
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