敗血症性肺塞栓症を続発したMRSAによる口唇蜂窩織炎

＜症例のポイント＞まれな合併症である敗血症性肺塞栓症(septic pulmonary embolism、以下、SPE)を続発した口唇蜂窩織炎の1例を経験した。起炎菌は近年本邦でもその感染が拡がりつつあるPanton-Valentine leukocidin(以下、PVL)を産生する。市中感染型MRSA(community-acquired MRSA、以下、CA-MRSA)であった。PVL陽性株は皮膚に蜂窩織炎、皮下膿瘍、せつ、癰などの深在性感染を引きおこしやすいだけでなく、市中肺炎の原因にもなりうるとされるので、合併症の発現に注意する必要がある。