展望
真皮マトリックス異常による全身疾患 弾性線維性仮性黄色腫
宇谷 厚志
1
1長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学
キーワード:
仮性黄色腫-弾力線維性
,
石灰沈着症
,
弾性線維
,
脳血管障害
,
有病率
,
心筋虚血
,
DNA配列分析
,
発病年齢
,
真皮
Keyword:
Calcinosis
,
Cerebrovascular Disorders
,
Elastic Tissue
,
Pseudoxanthoma Elasticum
,
Prevalence
,
Myocardial Ischemia
,
Sequence Analysis, DNA
,
Age of Onset
,
Dermis
pp.827-832
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2014082388
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皮膚疾患の病変の多くは表皮にあり,真皮はそこに存在する血管,付属器などに炎症などがある場合に注目される.真皮の大部分を占める細胞外基質(細胞外マトリックス,extracellular matrix:ECM)は強固な構造を有し内臓を外界から保護する役割を担う.真皮細胞外マトリックスのうち,圧迫,ひっぱり,ねじれへの抵抗力を膠原線維が,変形からの復元を弾性線維が,そして水分を大量に保持できることでクッションの役割をグリコサアミノグリカンが担っている.真皮細胞外マトリックス異常から全身疾患をみつけるという今回のテーマに合致するのは,膠原線維の病的増加による強皮症,ガドリニウムと関連するとされる腎性全身性線維症,タキサン系抗癌剤による線維症などがある.また,膠原線維質の変化では遺伝性疾患(Ehlers-Danlos症候群など)がある.グリコサアミノグリカンが真皮に異常沈着する疾患として,糖尿病性浮腫性硬化症,甲状腺機能亢進による前脛骨粘液水腫, 甲状腺機能低下による粘液水腫,マクログロブリン血症にみられる硬化性粘液水腫,浮腫性硬化症などが知られている.また膠原病(紅斑性ループス, 皮膚筋炎など)の病変部の真皮で増加していることもあるので注意が必要である.本稿では,弾性線維に異常をきたす疾患の中で,弾性線維性仮性黄色腫について述べる.今回「展望」を書く機会をいただいたので, 最近行った全国規模の調査からみえた現時点での実態を紹介し,皮膚科医師の役割を述べる.(「はじめに」より)
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