特集 小児外科疾患の発生を考える
肝芽腫
渡邉 健一郎
1
Kenichiro Watanabe
1
1静岡県立こども病院血液腫瘍科
pp.884-888
発行日 2025年8月25日
Published Date 2025/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001291
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はじめに
肝芽腫(hepatoblastoma)は,主に3歳未満の小児に発症する肝原発悪性肝腫瘍であり,肝細胞系前駆細胞由来の腫瘍と考えられている。組織学的には未分化な肝前駆細胞,胎児型および胎生後期型肝細胞に類似した特徴を示すことが多く,またWnt/β-catenin経路の活性化をはじめとする特徴的な分子異常が認められている。近年,肝臓の発生過程に関する知見の蓄積に伴い,肝芽腫の発症機序についても発生学的視点からの理解が進みつつある(図)。本稿では,肝臓の発生を概説したうえで,肝芽腫の発症について分子遺伝学的知見も交えて解説する。

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