今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈肝(腫瘤性)〉
肝芽腫
金川 公夫
1
1兵庫県立こども病院放射線科
pp.217
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100929
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1. 肝芽腫の一般的な知識
小児肝腫瘍は,小児腹部固形腫瘍では神経芽腫,Wilms腫瘍に次いで多く,約2/3が悪性である.肝芽腫は原発性肝悪性腫瘍では最も多く,肝細胞癌がこれに次ぐ.5歳以下に発症することが多く,半数は1歳以下で発症する.Beckwith-Wiedemann症候群,hemihypertrophyに合併することがある.通常は単発性腫瘤として認められ,右葉に存在する例が左葉に存在する例の約2倍である.多発性腫瘤像を呈する場合や,びまん性に認められる場合もある1).
2. 肝芽腫の超音波像(図1)
正常肝実質に対して,低エコー,高エコーおよび両者が混在したエコーを呈しうるが,高エコーを呈する場合が多い1,2).境界は,不鮮明な場合も鮮明な場合もある.石灰化を1/3~1/2に伴うため,acoustic shadowを伴う腫瘤像を呈する場合も多い.他に辺縁に低エコーを伴う場合もある.びまん性に広がる場合は肝実質のエコーレベルが不均一になる.パルスドプラでは高速度の血流を呈し,カラードプラでは腫瘍辺縁や中心部に血流が認められる.辺縁の血流は腫瘍辺縁の細かな血管のネットワークを見ている.腫瘍と門脈,肝静脈との関係や腫瘍塞栓の有無などに注意し,手術可能かどうかの評価も重要である.腫瘍血栓は血管内腔の高エコー腫瘤として描出される1).
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