特集 門脈血行異常に対する治療up to date
肝外門脈閉塞症に対するmeso-Rexバイパス手術―5例の手術経験から至適手術時期の考察―
福澤 宏明
1,2
,
渡部 彩
2
,
岡本 光正
2
,
新開 真人
3
,
岡島 英明
4
Hiroaki Fukuzawa
1,2
,
Aya Watanabe
2
,
Mitsumasa Okamoto
2
,
Masato Shinkai
3
,
Hideaki Okajima
4
1医学研究所北野病院小児外科
2姫路赤十字病院小児外科
3神奈川県立こども医療センター外科
4金沢医科大学小児外科
pp.480-485
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000817
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はじめに
肝外門脈閉塞症は,小児における肝硬変性を除く門脈圧亢進症の原因として筆頭にあげられる疾患である。多くは小児期に発症し,その65%は特発性とされており1),主な症状として,食道静脈瘤からの出血,脾腫を伴う脾機能亢進症,血液凝固異常,成長発達障害,精神発達障害などがみられる2~5)。以前は,食道静脈瘤に対して内視鏡下の硬化療法や静脈瘤結紮術,脾機能亢進症に対しては脾臓摘出術,また門脈圧亢進症本体に対しては選択的シャント手術(脾腎シャント,meso-cavalバイパス手術など)が行われていた。しかし,いずれの方法でも門脈体循環シャントの問題が解決されず,肺血管障害のリスクが残存するという問題が残った。それに対して,1992年に肝内門脈へ直接バイパスするmeso-Rexバイパス手術(Rexシャント手術)が初めて報告された6)。Rexシャント手術は肝外門脈と肝内門脈(主には門脈左枝)を静脈グラフトで吻合する手術で,門脈圧亢進症の改善のみならず肝内門脈血流も確保できる。
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