増刊号 CT・MRIアトラス—正常解剖と読影のポイント
腹部
各論
脾臓・肝外門脈系
中井 資貴
1
,
佐藤 守男
1
,
木村 誠志
1
1和歌山県立医科大学放射線科
pp.226-234
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908394
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正常解剖
脾臓(spleen)
脾臓は,左横隔膜下やや背側よりに存在する実質臓器であり,人体のリンパ系組織のなかで最大の臓器であり,各種の貧食機能,リンパ球Bcellを介する細胞免疫に関与している.また血球のプールの場所であり,寿命を終えた血球の処理を司どる.その他,代謝性疾患においてその異常代謝産物の貯蔵場所となる.正常の脾臓は,成人では最大径10cm以下とするのが一般的であるが,子どもでは10cm以上となることがある.脾は脾門部を除くと被膜に覆われている.膵の上縁後方を走行し,脾門部に達する脾動脈により栄養され,脾静脈は逆に脾門部から流出する1,2).
CTでは,CT値は50 HUと肝臓よりやや低濃度である.造影ダイナミックCTの動脈相にて内部不均一に濃染し,異常を示唆する所見ではない.MRIのT1強調像で,肝に比して等〜低信号を示し,T2強調像ではやや高信りを示す(図1).
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