特集 希少固形がんの診断と治療
小児希少固形がんの疫学
中田 佳世
1
,
松田 智大
2
,
宮代 勲
1
Kayo Nakata
1
,
Tomohiro Matsuda
2
,
Isao Miyashiro
1
1大阪国際がんセンターがん対策センター
2国立がん研究センターがん対策研究所
pp.816-819
発行日 2023年8月25日
Published Date 2023/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000533
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はじめに:小児における希少固形がんの定義
わが国の成人を含む希少がんの定義は,平成27(2015)年に開催された「希少がん医療・支援のあり方関する検討会」において,「概ね罹患(発生)率人口10万人当たり6例未満」,「数が少ないため診療・受療上の課題が他のがん種に比べて大きい」がん種と定義されている1)。小児がんは,それ自体がまれな疾患であり,わが国で年間約100万件と報告されるがん患者のうち,15歳未満の患者数は約2,000例(0.2%),20歳未満としても約3,000例(0.3%)である2)。小児がんのなかには,発生頻度が特に低いことから現在利用可能な登録や治療プロトコールでは把握できず,他の小児がん集団で達成された治療の成功の恩恵を受けていない集団があると報告されている3,4)。しかし,その定義は複雑で,さまざまな研究者によって異なる解釈がなされている。
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