特集 今日の小児肝移植
葛西術後成人期移植症例の予後因子
越智 崇徳
1
,
武田 昌寛
1
,
山高 篤行
1
Takanori Ochi
1
,
Masahiro Takeda
1
,
Atsuyuki Yamataka
1
1順天堂大学医学部小児外科・小児泌尿生殖器外科
pp.618-621
発行日 2023年6月25日
Published Date 2023/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000478
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はじめに
胆道閉鎖症(BA)は,葛西術後減黄し自己肝生存が得られても,最終的には肝移植が必要となることが多い。そのため,フォローアップの際は,BAに関連した合併症の有無,成長障害や妊娠など生活の質に関わる問題,肝障害の程度から肝移植のタイミングを総合的に判断する必要がある1)。BA患者の少なくとも75%が生涯のうちに肝移植が必要になるとされており2),葛西術後自己肝で成人期まで至る症例は14~44%といわれている3)。Shinkaiら4)は,20歳以降の自己肝生存BA患者の37%に胆管炎をきたし,17%に胃食道静脈瘤からの出血を認め,成人期BA患者の20%が肝不全で死亡または肝移植が必要な状態になったと報告している。また,成人期に移植となる要因としては,繰り返す胆管炎や,門脈圧亢進症に伴う合併症によるものが多いとしている4)。
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