特集 ロボット支援手術
AIとロボット支援手術の融合
中島 清一
1
,
牛丸 裕貴
1
Kiyokazu Nakajima
1
,
Yuki Ushimaru
1
1大阪大学大学院医学系研究科次世代内視鏡治療学
pp.502-506
発行日 2023年5月25日
Published Date 2023/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000440
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はじめに
外科領域においては,内視鏡支援ロボットの普及による急速なデジタル化が進んでいる。ロボット支援手術(robotic assisted surgery:RAS)では,術者のマニュアルな動きはデジタル信号を介してロボットが手術を実行する。従来の胸腔鏡・腹腔鏡手術と比べて,RASでは鮮明な三次元(3D)ハイビジョン画像,先端が人間の手指や手首の動きを模倣する高い自由度のインストゥルメント,手ブレ除去などの機能を有するため,解剖学的構造に沿った繊細で正確な手術がより円滑に実行可能となり,術者は従来の腹腔鏡手術よりも緻密,安全かつ容易に行うことができる。術中の出血量が少なく術後の回復が早いなど患者へのメリットも大きい。元来,低侵襲手術(minimal invasive surgery:MIS)の発展には,手術システムおよび器具の急速な発展が外科医の技術的問題を解決するうえで非常に重要であった。この意味で,既存の胸腔鏡・腹腔鏡手術の欠点を解消し,手術の質を向上させることができるツールとして,RASは適切といえる1)。一方で,手術の急速なデジタル化で技術レベルの向上と実装が期待されるのが人工知能(artificial intelligence:AI)である。
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