FOCUS
手術解剖学とAI技術の融合を目指した取り組み—医師の認識を支援する手術AIシステムの開発
熊頭 勇太
1,2
,
小林 直
1,3
,
大島 貴
4
,
篠原 尚
5
Yuta KUMAZU
1,2
1アナウト株式会社
2横浜市立大学医学部外科治療学
3津田沼中央総合病院
4神奈川県立がんセンター消化器外科
5兵庫医科大学消化器外科学上部消化管外科
pp.98-103
発行日 2023年1月20日
Published Date 2023/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214014
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はじめに
外科医療は従来の開腹手術から内視鏡手術,ロボット支援下手術と科学的発展を遂げてきた.高い解像度をもつ手術内視鏡が精細な「目」を,より緻密な操作を可能とした手術支援ロボットは精緻な「手」を外科医にもたらしている1,2).しかし,手術合併症は依然として大きな課題である3).その原因の約30%に,手術中の外科医の誤認識が影響しているとする研究報告がある4).解剖構造や出血,手技操作などに対する認知能力は,外科医個人の経験や知識によって左右され,精神状態や集中力にも影響を受けるため5,6),外科医は常にベストパフォーマンスを発揮できる状況とは限らない.このような現状のなかで,手術合併症の減少をもたらす次なるイノベーションとして,外科医の認知機能である「頭脳」を支援するAI技術が期待されている.
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