FOCUS
軟性内視鏡とロボット技術を融合した手術支援システム
和田 則仁
1
,
北川 雄光
1
Norihito WADA
1
1慶應義塾大学医学部外科学(一般・消化器)
pp.586-590
発行日 2020年5月20日
Published Date 2020/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212937
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はじめに
世界の医療機器の市場は拡大している.しかしながら,厚生労働省の薬事工業生産動態統計調査1)によれば,わが国の医療機器の貿易収支は輸入超過であり,その額は年々増加している(図1).診断系の医療機器はかろうじて黒字であるが,治療系医療機器においては顕著な輸入超過となっている.高齢化社会を迎え増大する医療費の多くを輸入品に依存する状況は好ましいとはいえず,国際競争力の高い国産医療機器の創出はわが国にとって急務といえる.
医療機器のなかで,手術ロボットの市場は爆発的に増大している(図2)2).代表的な手術支援ロボットのダビンチサージカルシステム(dVSS)の手術件数も増加しており(図3)3),特に一般・消化器外科の増加が顕著である.現在の開胸・開腹・内視鏡外科手術が,今後ロボット支援手術に置換されていく傾向は確実といえる.わが国においても保険適用の拡大により,今後さらなる普及が期待されている.Intuitive Surgical社の有する手術支援ロボットの主要な特許が切れていくことから,今後dVSS以外の手術支援ロボットが相次いで上市されるとされる4).これまで寡占状態にあった手術ロボットの市場に競争がもたらされることから,普及に弾みがつくと考えられる.
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