特集 小児外科疾患に関連する症候群
Prader-Willi症候群
大橋 研介
1
,
吉澤 信輔
1
,
内田 豪気
1
,
大場 大樹
2
,
大橋 博文
2
Kensuke Ohashi
1
,
Shinsuke Yoshizawa
1
,
Goki Uchida
1
,
Daiju Ohba
2
,
Hirofumi Ohashi
2
1埼玉県立小児医療センター泌尿器科
2埼玉県立小児医療センター遺伝科
pp.428-431
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000420
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Ⅰ.定 義
Prader-Willi症候群(PWS)は15番染色体長腕近位部(q11-q13)に位置する複数のインプリンティング遺伝子の異常に起因するインプリンティング疾患であり,神経・内分泌を中心に多様な臨床症状を呈する先天異常症候群である1)。インプリンティング疾患とは由来親依存的発現パターンを示す遺伝子の機能障害により生じるもので,PWSやAngelman症候群(AS)が代表疾患である1)。PWSでは父性発現遺伝子であるSNORD116の異常が関与しているといわれ,ASでは母性発現遺伝子であるUBE3A,ATP3Cの機能不全が原因と考えられている2)。PWS患者の75%に父由来の染色体15q11-q13 の欠失がみられ,20~25%に染色体15番の双方が母親由来である片親性ダイソミー(uniparental disomy:UPD)がみられる3)。まれではあるが,刷り込みセンターの異常(エピジェネティック変異:2~5%)や転座(1%未満)がみられることもある。発症頻度は1万~2万に1人とされ(わが国では15,000出生に1人),性差や人種差はみられない。
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