研究
Prader-Willi症候群の子どもを持つ家族の抱える問題とその支援
真野 祥子
1
,
山内 栄子
2
,
秋山 智
2
,
長尾 秀夫
3
,
武内 八千代
4
,
中本 直子
5
,
井上 弘美
5
1財団法人真光会真光園
2愛媛大学医学部看護学科臨床看護学講座
3愛媛大学教育学部障害児病理
4野村農村保健所
5宇和島中央保健所
pp.212-218
発行日 2001年3月10日
Published Date 2001/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902406
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要旨
Prader-Willi症候群(以下,PWS)の子どもを持つ家族を支援するため,家族が持っている問題点を明らかにする目的で本研究を行った。方法として,過去4年間に愛媛大学で開かれたPWS親子の集いで回収したアンケートから問題点を抽出した。その中で問題点を類似するグループに分け,さらにそれらを対象年齢別に分類し,共通点と相違点について検討した。最後に年齢とともに変化する問題とその解決方法を示した。
結果は,PWSの家族の持つ問題は食事面,成長・発達面,身体面,社会面の4グループに分類できた。年齢別に見ると,乳幼児では食事と成長・発達に関する問題が多かった。小・中学生では,4グループ全般にわたる問題があった。成人では発達の遅れや肥満などの問題から一歩進み,合併症の悪化や親の死後の子どもの行く末を悩みとしていた。
食事制限や肥満を除けば,これらの多くはダウン症候群など他の疾患でも共通したものであった。問題解決のために食事制限では食物管理を厳重に行い,食品は低力ロリーのものをとるようにしていた。肥満に対しては,犬の散歩などの運動をしたり,食物以外に気が向くように遊びを取り入れていた。
親子の集いは,先輩の実践例を聞き,問題解決の糸口をつかむことができる場として家族の拠り所となっていた。したがって,医療関係者は家族支援のために集いが効果的に機能するようサポートし,地域での保健活動のキーパーソンとしての役割が求められる。
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