特集 小児外科疾患に関連する症候群
ATR-X症候群
渡辺 稔彦
1
,
森 昌玄
1
,
小松崎 尚子
1
,
梅山 知成
1
,
佐々木 彩
1
,
堀江 貴哉
1
,
鄭 絵里
1
,
平川 均
1
Toshihiko Watanabe
1
,
Masaharu Mori
1
,
Naoko Komatsuzaki
1
,
Tomoshige Umeyama
1
,
Aya Sasaki
1
,
Takaya Horie
1
,
Eri Tei
1
,
Hitoshi Hirakawa
1
1東海大学医学部小児外科
pp.363-367
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000404
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Ⅰ.ATR-X症候群の歴史的背景と疫学
1981年にαサラセミアと精神遅滞の合併例が初めて報告された。特徴的顔貌と重度の精神発達遅滞を伴い,患者は男性のみであるグループは責任遺伝子がX染色体上にあるとされ,ATR-X症候群(X-linked α-thalassemia/mental retardation syndrome)と名づけられ,1995年に英国のGibbonsらにより責任遺伝子ATRXが同定された1)。日本国内で約100症例が診断されており,出生男児58,000~73,000あたり1人で年間では8人前後が発症していると推定されている2)。小児科医の認知もいまだ低い疾患で,原因不明の精神発達遅滞とされ診断されていない症例が存在すると推測されている。
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