特集 胎児治療の進歩と今後の展望
胎児胸腔羊水腔シャントの適応と方法
長﨑 澄人
1
,
中田 雅彦
1
Sumito Nagasaki
1
,
Masahiko Nakata
1
1東邦大学医療センター大森病院産婦人科
pp.42-45
発行日 2023年1月25日
Published Date 2023/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000328
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Ⅰ.概 要
胎児胸水(図1)は原発性胸水と,胎児心奇形,胎児不整脈,血液型不適合妊娠,妊娠中のウイルス感染症,胎児染色体異常などが原因で起こる続発性胸水に分けられる。胸水貯留が持続すると肺の圧迫による肺低形成,胸腔内圧の上昇による心不全とそれに引き続く胎児水腫(皮下浮腫/胸水/腹水のうち2つ以上を認めるもの)や,縦隔が圧迫されるために胎児の嚥下低下により羊水過多が進行し,早産の原因にもなる。特に胎児水腫まで進行した症例では子宮内胎児死亡や,娩出しても早産分娩であった場合には新生児死亡などとなり,予後不良であることが知られている。そのため,現在わが国ではシャントチューブ(図2)を用いた胎児治療が保険適用になっている。
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