特集 胎児治療の進歩と今後の展望
胎児胸腔−羊水腔シャント術の市販後調査
高橋 雄一郎
1
Yuichiro Takahashi
1
1岐阜県総合医療センター産科・胎児診療科
pp.46-50
発行日 2023年1月25日
Published Date 2023/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000329
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はじめに
わが国においても進行性の重症胎児胸水に対する胎児治療として,胎児胸腔−羊水腔シャント術が行われている1,2)。その歴史は,1990年代初頭に海外で使用されたダブルピッグカテーテル3~5)ではなく,わが国独自のシャントチューブが開発されたことから始まる。当時,胎児下部尿路閉塞(LUTO)に対する胎児治療のデバイスとして,国立循環器病センターの千葉,小林らのグループが八光社と共同で開発を進めた6)。その後,胸腔-羊水腔にも応用するようになった。本チューブ(図1)は当初は期限つき先進医療(図2)としての認可が下りていたが,胎児治療としての薬事承認がなされていなかったことから,その安全性と有効性確認のために2008年より厚生労働省科学研究(左合班)として,世界初の多施設共同の前方視試験が行われ,2012年に成果が報告された1)。試験概要は下記のごとくで,生存率は19/24(79%),特に胎児水腫例では12/17(71%)と報告された。
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