連載 OBSTETRIC NEWS
羊水過少症の治療方法〜羊水量を増加させる方法はあるのか?
武久 徹
1
1武久産婦人科医院
pp.412-413
発行日 1997年4月10日
Published Date 1997/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902900
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羊水過少症は,分娩前胎児死亡や分娩中のnon—reassuring(心配な)胎児心拍数(FHR)パターンによる帝王切開(帝切)の大きな原因となる.羊水過少症に対する対応の第一段階は破水の除外,超音波診断専門医による胎児奇形の除外,母体因子(高度脱水など)の検索,分娩前胎児管理試験(CSTまたはBPP)の施行である.また,満期前破水(preterm PROM:PPROM)の場合は,胎盤早期剥離,羊水感染,胎児肺低形成,四肢変形,fetal distress,子宮内胎児死亡などが増加することが明らかにされている.
陣痛発来後の羊水量の測定は,その後のnon—reassuring FHRパターンによる帝切の有無を予知するうえで有用である.Baronらは,陣痛発来で入院した妊婦(妊娠26週以降)の羊水量を測定した.その結果,羊水過少症群(AFI≦5.0,170例),羊水減少群(AFI:5.1〜8.0,261例),羊水量正常群(AFI:8.1〜20,336例)におけるfetal distressによる帝切率は4.1%,0.4%,0.6%であった.したがって,入院時,羊水過少症例における分娩中のfetal distressによる帝切の相対危険度は正常羊水量例に比較し6.83(95%信頼区間1.55〜30.0)と著しく増加することを明らかにしている(AJOG 173:167,1995).
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