特集 巨大臍帯ヘルニア治療update
腹壁閉鎖困難例に対するcomponent separation technique(CST)の応用
CST変法(ラミネート閉鎖法)による腹壁閉鎖
倉林 孝之
1
,
朝戸 裕貴
2
Takashi Kurabayashi
1
,
Hirotaka Asato
2
1獨協医科大学埼玉医療センター形成外科
2獨協医科大学形成外科
pp.1207-1211
発行日 2022年12月25日
Published Date 2022/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000313
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はじめに
コンポーネントセパレーション法(CS法)では腹壁正中のテンションを減じることが主なコンセプトである。左右の外腹斜筋内側縁の腱膜を切開して外腹斜筋と内腹斜筋の間をリリースし,腹直筋を内腹斜筋や腹横筋と腹直筋鞘を介して一塊の構造体(コンポーネント)として正中に向けて前進させる。CS法を特徴づけるこれらの操作ばかりが注目されがちであるが,実はこの術式を発表したRamirezら1)は考察で左右の腹直筋を合わせることの有用性にも触れている。その理由としてGerら2,3)の知見を引用し,脱神経されていない動的な筋肉が応力に強いためとしている。だが,われわれは腹直筋が正中で合わさり,筋膜で覆われた構造にこそ強さの秘密があると考える。構造は強さである。そこでわれわれは腹壁を強固な構造体に変えることをコンセプトに,正中腹壁瘢痕ヘルニアの根治術としてのラミネート閉鎖法を考案した4)。ラミネート閉鎖法とCS法とは理論的根拠は異なる。しかし,巨大臍帯ヘルニアにおける正中閉鎖創の補強術式として,非常に有用な方法であると思われるため,CS法と類似した術式として詳細を含めて紹介する。
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