特集 「低侵襲治療」小児への適応と可能性
膀胱尿管逆流症に対する膀胱鏡下Deflux®注入療法
吉澤 穣治
1
,
中神 智和
1
,
川野 晋也
1
,
渡井 有
2
Jyoji Yoshizawa
1
,
Tomokazu Nakagami
1
,
Shinya Kawano
1
,
Yu Watarai
2
1昭和大学江東豊洲病院小児外科
2昭和大学小児外科
pp.816-820
発行日 2022年8月25日
Published Date 2022/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000215
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はじめに
1980年以前には膀胱尿管逆流症(vesicoureteral reflux:VUR)の治療法の選択肢は抗菌薬の内服か尿管再移植術の2つであった。尿管再移植術の逆流防止効果は95%以上の好成績である一方で,侵襲が大きい治療である。1980年代に新たな治療法として,膀胱鏡下にさまざまな治療材料を注入し,尿管口の形状を変えて逆流を防止する手術法が開発された。そのなかで1990年にスウェーデンのQ-med社によって開発されたproprietary non-animal stabilized hyaluronic acid/dextranomer gel(NASHA/DX)がDeflux®である。Deflux®を膀胱鏡下に尿管口に注入することで逆流を防止する非常に低侵襲な治療法である(図1)。2001年に米国FDAがDeflux®を承認後,膀胱鏡下のDeflux®注入療法は急速に普及した。筆者もDeflux®の開発を行ったQ-med社とスウェーデンのUppsala大学Deflux®療法の権威Göran Läckgren先生の指導を受けて,日本で保険診療適用前からDeflux®注入療法を行ってきた。FDAで承認後20年以上が経過した現在,VURの治療法の第一選択として推奨されている1)。
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