増刊号特集 小児泌尿器科診療
治療の実際
膀胱尿管逆流症
島田 憲次
1
,
細川 尚三
1
,
坂上 和弘
1
,
貴島 洋子
1
1大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科
pp.183-189
発行日 1994年3月30日
Published Date 1994/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901179
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■膀胱尿管逆流(vesicoureteral reflux;VUR)とは
VURは膀胱尿管接合部の先天性形成不全に基づく機能異常により生ずるもので,ヒトでは新生児期でもVURが存在すれば病的とみなされる。健康な小児におけるVURの頻度は0.2〜1%であるが,一度でも尿路感染症を起こしたことのある小児では30〜60%の高率で証明される1)。
VURの主訴として最も多いのは尿路感染症(UTI)の症状と所見,つまり高熱,膀胱炎症状,尿混濁などであるが,遺尿症や蛋白尿などの精査により本症が発見されることも珍しくはない。直接の臨床症状として現れることは少ないが,VURによる腎障害,つまり腎実質の瘢痕形成と腎の成長障害,そしてそれらによって引き起こされる腎機能障害と高血圧が重視されている。そのため,VURに対する治療の目的は尿路感染の発症と腎の瘢痕形成を防ぎ,腎成長を正常に保つことであり,また腎実質障害の進行をくい止め,高血圧と腎機能障害を防止することにある。
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