特集 短腸症候群の診療における問題点
第118回東京小児外科研究会より
当院における超短腸症候群の管理
臼井 秀仁
1,2
,
新開 真人
1
,
北河 徳彦
1
,
望月 響子
1
,
都築 行広
1
,
八木 勇磨
1
,
奥村 一慶
1
,
川見 明央
1
Hidehito Usui
1,2
,
Masato Shinkai
1
,
Norihiko Kitagawa
1
,
Kyoko Mochizuki
1
,
Yukihiro Tsuzuki
1
,
Yuma Yagi
1
,
Kazuyoshi Okumura
1
,
Akio Kawami
1
1神奈川県立こども医療センター外科
2横浜市立大学外科治療学
pp.236-240
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000065
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はじめに
短腸症候群(short bowel syndrome:SBS)は先天的な形成異常や後天的な虚血壊死により腸管が短くなり,経口摂取のみでは各種栄養素やエネルギー,水分,電解質,微量元素などを十分に消化・吸収できない状態である1)。小児では残存腸管長を75cm未満であると定義する文献も存在するが2),児の年齢によって全腸管長が異なるため一律に定義することは難しい。近年の栄養管理,特に中心静脈栄養(total parenteral nutrition:TPN)の進歩により小児SBSの生命予後は飛躍的に向上した。しかし残存腸管20cm未満のSBSは超短腸症候群(ultrashort small bowel syndrome:USSB)と呼ばれる重症例であり,残存小腸が少ないためTPNへの依存度が高くなり,腸管不全関連肝障害(intestinal failure-associated liver disease:IFALD)を併発しやすく,死亡率も高いとされる3)。
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