特集 どうする? 小児の便秘・下痢
下痢の原因となる器質的疾患の診断と治療
短腸症候群
松浦 俊治
1
,
田尻 達郎
1
MATSUURA Toshiharu
1
,
TAJIRI Tatsuro
1
1九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
pp.427-430
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000812
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はじめに
短腸症候群(以下,本症)は,難治性下痢をきたすものとして重要であり,その背景となる疾患と重症度は非常に幅広く,また,新生児から成人にいたるまでさまざまな年齢層に発症し得る病態でもある。このため,短腸症候群に対する管理は個々の症例によって,重症度や時期によっても,多面的に介入しなければならない課題が多いのが特徴である。この数年で,短腸症候群に対する治療の選択肢が増加し,外科的介入から緻密な栄養管理・薬物治療までを包括的に提供することが,長期生命予後・機能予後に寄与することが国際的に報告されるようになっているが,わが国における治療体制はいまだ十分とはいえない。平成28~29年度厚生労働科学研究班「短腸症の重症度分類・集学的小腸リハビリテーション指針作成に関する研究」(代表研究者:松浦俊治)1)において図に示す診療アルゴリズムと課題点が示された。それをふまえ,短腸症候群治療の現状と課題について概説する。
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