今月の主題 新しい栄養療法
各種疾患における栄養療法
短腸症候群の栄養療法
松枝 啓
1
Kei Matsueda
1
1国立病院医療センター・消化器内科
pp.58-61
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218856
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短腸症候群の栄養療法としては,2段階の治療法が考慮されるべきである.すなわち,広範な小腸切除の直後で大量の下痢が発生する急性期における栄養療法と,残存小腸がadaptationを起こして下痢が改善し,社会復帰を考える安定期における栄養療法との2段階の治療である.
この急性期における栄養療法を可能にしたのは,Total Parenteral Nutrition(TPN)の開発であり,またTPNを家庭で施行するHome-Hyperalimentationの技法が開発されて以来,安定期における患者の栄養状態の維持や社会復帰も可能になってきた.しかし,TPNによる治療法には,実用性,安全性,そして経済性において多くの問題が存在し,これらが短腸症候群の患者の治療や社会復帰をより困難なものにしてきた.
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