特集 小児がん診療の新展開
各論 小児がんに関連する診療の新展開
遺伝性腫瘍
服部 浩佳
1
Hiroyoshi Hattori
1
1国立病院機構名古屋医療センター遺伝診療科
pp.1457-1462
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002762
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はじめに
かつて「遺伝」という言葉は,小児がんの親にとって“病気が子どもに引き継がれる”というネガティブな響きをもって受け止められていた。親御さんから「子どもががんになったのは遺伝ですか」と問われても,30年ほど前までは「小児がんの多くは遺伝とは関係がありません」と説明するのが一般的であった。しかし近年,遺伝子解析技術の進歩により多くのゲノム情報が明らかとなり,この状況は大きく変化した。ゲノム情報が診断や治療方針の決定に果たす役割は急速に拡大しており,「遺伝」はもはや不利な要素ではなくなっている。むしろ,正確な診断と適切な治療選択,そして家族に対する健康管理へとつながる重要な情報として位置づけられるようになった。

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