特集 産婦人科医が知っておくべき婦人科腫瘍の病理学
総論
2.遺伝性腫瘍
加藤 哲子
1
N. Kato
1
1弘前大学医学部附属病院病理部
pp.921-925
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001834
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遺伝性腫瘍症候群に関連した腫瘍は婦人科領域にも発生し,症候群ごとに腫瘍の組織型や病理像が異なる。遺伝性乳がん卵巣がん症候群に伴う卵巣がんは80%以上が高異型度漿液性癌であり,その主要な初期病変は卵管采の上皮内癌である。リスク低減のために摘出された卵管はSEE-FIMプロトコールに則って病理学的に検討されることが望ましい。Lynch症候群では子宮内膜がん,卵巣がんが発生しやすく,前者は子宮峡部から発生する頻度が高い。いずれも組織型は類内膜癌が主体であるが,明細胞癌や混合癌も発生する。Peutz-Jeghers症候群では子宮頸部胃型腺癌の発症リスクが高い。最近提唱されたDICER1症候群では肺や甲状腺の腫瘍とともに,卵巣にセルトリ・ライディッヒ細胞腫が好発する。
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