特集 常在微生物叢と小児疾患~腸内細菌叢の先にあるもの~
ほかの臓器の微生物叢と小児疾患
腸内・腟内細菌叢と自然早産
米田 哲
1
YONEDA Satoshi
1
1富山大学医学部産科婦人科教室
pp.1092-1095
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002526
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はじめに
わが国における早産率は,約5.7%であり,ここ数年,大きく変動はしていない。また,妊娠32週未満の早産は0.7~0.8%,妊娠28週未満の早産は0.2~0.3%の割合で推移している。早産は,自然早産と人工早産に大別されるが(前者は約7割,後者は3割とされる),その原因は,きわめて多岐に渡るため,一筋縄にこれを予防することは難しく,世界的にみても早産は減っていない現状にある。しかしながら,近年,自然早産のメカニズムや臨床的特徴がわかってきており,これに基づいた対策が行われている。新しい視点としては,自然早産ハイリスク妊婦を対象に,妊娠初期からのラクトフェリンや酪酸菌含有プロバイオティクスの投与が試みられている。まだエビデンスレベルにはいたっていないが,これらについて,少し触れてみたい。

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