特集 胎児・新生児の消化管機能と消化管疾患
総論
母体の腟内・腸内細菌叢
米田 徳子
1
,
米田 哲
1
YONEDA Noriko
1
,
YONEDA Satoshi
1
1富山大学産科婦人科
pp.1552-1556
発行日 2023年11月10日
Published Date 2023/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001144
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はじめに
妊娠中の腟内細菌叢はLactobacillus優位の状態となっており,細菌やウイルス感染を防いでいる。しかし,細菌性腟症(bacterial vaginosis:BV)や細菌性腟炎が存在すると腟内細菌叢が変化し,腟部の粘膜バリアが破壊され,異常繁殖した菌が腟内から上行性に子宮内に波及し,子宮内感染・炎症を引き起こす。その結果,子宮頸管の軟化,卵膜の脆弱化(破水),子宮収縮(陣痛)から早産に至ると考えられている(図1)1)。また,腸内細菌叢と早産の関連についても報告されており,近年プロバイオティクス,プレバイオティクスによる早産予防効果が期待されている。本稿では,母体の腟内細菌叢,腸内細菌叢と早産の関連を中心に解説し,新生児への影響につき考えてみたい。
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