特集 入門! アタッチメントと小児期逆境体験を知る
アタッチメント障害や小児期逆境体験を巡る最近のトピックス
神経発達症におけるアタッチメント形成支援
松田 文雄
1
MATSUDA Fumio
1
1医療法人翠星会松田病院
pp.969-971
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002492
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はじめに
神経発達症におけるアタッチメント形成については,特性理解と適切な支援が必要である。とくに自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)と注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder:ADHD)におけるアタッチメント形成について述べることとする。一般的理解ではなく,個々の特性理解(アセスメント)に基づいた支援のあり方を考えることが必要である。ASD,ADHDの発達特性がある場合も,アタッチメント形成が可能であるという前提がある。まず,発達特性に応じたアタッチメント形成の特異性についての理解と,具体的な支援のあり方について述べることとする。従来のアタッチメント理論での評価は主に行動面に焦点が当てられがちであり,児童精神科臨床の歴史でも,主に行動面の評価と理解,行動面の修正(破壊的行動,自傷行為,不登校,こだわり,衝動性など)を目的とした方策について多くの議論がなされてきた。一方で,養育環境としてとくに養育者との関係性についての重要性が示唆されている。さらに,子どもと養育者の組み合わせの問題(子どもの発達特性と養育者の気質の組み合わせ)1),養育者に発達特性がある場合の組み合わせなどについても,アセスメントと方策が必要である。すなわち,子どもと養育者との相互関係に着目することが重要である。

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